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最新動向

農業×AIの最新動向【2026年秋】予測するAI・収穫ロボット・国の予算をまとめて解説

2026年の農業×AIは、「質問に答えるAI」に加えて、病害虫や収量を前もって「予測するAI」と、作業をする「AI搭載ロボット」が実際に使える・借りられる段階に入ってきました。国も令和9年度の概算要求でAI・ロボットの開発費を大きく増やす方向です。未経験の方や小規模の農家にとって、何が今使えて、何がまだ先なのかを整理します。

4コマでわかる:2026年の農業×AI

田んぼのあぜで、スマホを見て首をかしげるみのり

みのり:最近「農業×AI」ってよく聞くけど、何ができるんだろう?

ゲンさんが指を3本立てて説明している

ゲンさん:2026年は「予測するAI」「相談できるAI」「作業するロボット」が増えてきたんだ[1][6][10]

ロボットがすべての農作業をしてくれる場面を想像して、目を輝かせるみのり

みのり:じゃあ、全部AIにまかせられる!?

苦笑いのゲンさんと、うなずくみのり

ゲンさん:まだ研究中のものも多いよ。今使えるものと、これからのものを分けて見ていこう[4][5][11]

みのり(新規就農1年目)ゲンさん(地元の先輩農家)

「予測して先回り」するAIが現場に

キャベツ畑で、虫に食われた葉を見て困った顔のみのり。隣にゲンさん

みのり:虫が出てから気づくんじゃ遅いんですよね…

ゲンさん:TENRYOというアプリは、気象データなどから病害虫のリスクを1週間前に予測するんだ[1]

トマトのハウスの中で、スマホの収量グラフを一緒に見るみのりとゲンさん

ゲンさん:ハウスのトマトなら、フルベジナビで収量を予測できる。広島の実証では目標の15%増収を達成したそうだ[3]

みのり:勘じゃなくて、試算してから決められるんだ!

みのり(新規就農1年目)ゲンさん(地元の先輩農家)

ミライ菜園のAI病害虫予測アプリ「TENRYO」は、20年分の気象データと発生履歴から病害虫の発生リスクを1週間前に予測します。対応品目は2025年春の9品目から、2026年春には23品目(キャベツ、ブロッコリー、タマネギ、水稲、かんきつなど)に増えました。JA豊橋ではフェロモントラップによる調査をAI予測に切り替え、フェロモントラップ関連の作業時間が約9割減ったと発表されています。[1]

愛知県は2026年1月、県の農業総合試験場とミライ菜園が、しそ(大葉)の病害虫を画像とAIによる問診で診断する技術を開発したと発表しました。主要な病害虫11種の診断精度は平均94%で、画像だけのAI(平均78%)より16ポイント高く、TENRYOに載せて2026年度に社会実装する予定とされています。[2]

ハウス栽培では、農研機構の「NARO生育・収量予測ツール」を組み込んだ営農支援アプリ「フルベジナビ」が、2025年9月からサービスを始めています。施設野菜の生育や収量の予測をグラフで確かめられ、温室のCO2濃度を変えたときに収量がどう変わるかも試算できます。現在の対象はトマトで、広島県呉市の実証では目標としていた15%の収量増を達成したと報告されています。[3]

農研機構は2026年3月、収量や施肥などの営農情報から土壌の状態を診断し、改善策を示すAIを発表しました。水稲・コムギ・ダイズ・キャベツ・タマネギなど13品目に対応し、専門家の診断と比べた正答率は13品目すべてで90%以上です。ただし現在は土壌医が試しに使って改良している段階で、外部機関と協力して社会実装を進める予定とされています。[4]

ドローンを「撒く道具」ではなく「見て予測する道具」として使う研究も進んでいます。東京大学・クボタ・更別プリディクションは、ドローンで撮影した画像と機械学習から、収穫前にジャガイモの地下のイモの重さと収量を予測する手法を発表しました(収量予測の相関係数0.7以上)。こちらは研究段階の成果です。[5]

「相談できるAI」と、それを支えるデータ基盤

夕方の農家の縁側で、スマホのチャット画面に質問を打ち込むみのりと、隣でのぞきこむゲンさん

みのり:わからないことは、AIに聞いてみようかな

ゲンさん:クボタのKSASのAIチャットは、KSAS会員なら無料で使えるよ[6]

畑で病気の葉をスマホで撮影するみのり。ゲンさんが横からのぞいている

ゲンさん:写真を送って病害虫を診断してもらう遠隔の営農支援も、2026年4月に始まったんだ[8]

みのり:離れた専門家にも相談できるんですね

みのり(新規就農1年目)ゲンさん(地元の先輩農家)

生成AIのチャットで農業の質問に答えるサービスも出ています。クボタは2025年7月、営農支援システム「KSAS」に生成AIのチャット機能を追加しました。KSASの操作方法、新規就農の情報、栽培に関する簡単な質問に答えるもので、KSAS会員は無料で使えます。[6]

農研機構は2024年10月に農業特化型の生成AIを発表し、三重県の普及指導員にイチゴを対象として試験提供しました。農家からのよくある質問120問で評価したところ、汎用の生成AIより正答率が40%高かったとしています。[7]

NTTアグリテクノロジーは、東北でのタマネギ産地づくりの実証を経て、2026年4月6日から遠隔営農支援システムの受付・提供を始めました。実証では、農家が送った写真から病害虫を判定する「WAGRI病虫害AI画像診断サービス」が使われています。[8]

こうしたサービスの裏側では、国の農業データ連携基盤「WAGRI」が共通部品として使われています。農林水産省の資料によると、令和8年3月末時点で126の民間事業者等が利用し、225のAPIが実装されています。病害虫判定プログラムや生育収量予測ツールも、WAGRIを通じて民間サービスに提供されています。[9]

AI搭載ロボットは「買う前に借りて試す」へ

キュウリのハウスで、レールの上を走る収穫ロボットを見上げるみのりとゲンさん

みのり:収穫ロボット、高そう…

ゲンさん:北海道では、買わずにレンタルで試した産地もあるよ[10]

背の高いトマトの列で、葉を取るロボットのアームを見るふたり

ゲンさん:トマトの葉かきロボットは国の認定を受けた段階。使えるのはまだ先だね[11]

みのり:今できることと、これからのことは分けて考えないと

みのり(新規就農1年目)ゲンさん(地元の先輩農家)

AGRISTは2026年、AIで収穫に適したサイズを判断するキュウリ・ピーマンの自動収穫ロボットを、北海道の3拠点(JA新冠、ホクレン、JAきたそらち)で購入ではなくレンタルとして稼働させました。期間は勉強会のための1日から、7月〜10月の約4か月までさまざまです。[10]

inahoは2026年6月、視覚情報と言葉による作業指示をまとめて理解してロボットの動きを生み出す基盤モデル(VLA)を使った、施設トマトの自動葉かき・芽かきロボットの開発供給実施計画が、スマート農業技術活用促進法の認定を受けたと発表しました。高さ300cmまでの葉かき・芽かきを担い、労働時間の60%削減に役立つ技術と位置づけられています。製品として使えるのはまだ先です。[11]

国の後押し:令和9年度概算要求と認定制度

農協の事務所のような部屋で、棒グラフの資料を指さすゲンさん。驚くみのり

ゲンさん:国は来年度、スマート農業技術の開発などに約93億円を要求している。今年度は約3.4億円だった[12]

みのり:すごく増えてる!

メモを取るみのりに、人差し指を立てて注意するゲンさん

ゲンさん:ただし「要求」だから、まだ決まった金額じゃない。法律の認定を受けた人を優遇して支援する仕組みもあるよ[13]

みのり(新規就農1年目)ゲンさん(地元の先輩農家)

農林水産省の令和9年度予算概算要求では、「スマート農業技術活用促進総合対策」が93億5,600万円(前年度3億4,100万円)です。このうち、ロボット・AI・IoTなどのスマート農業技術の開発・供給を進める事業が88億円で、AIやロボティクスの技術を持つ高専などと民間事業者が連携した研究開発や、AI開発用の教師データの整備が含まれています。[12]

あわせて、スマート農業技術活用促進法の認定を受けた農業者や事業者を予算面で優遇して集中的に支援する「スマート農業技術活用促進集中支援プログラム」は、796億3,700万円(前年度185億500万円)が要求されています。[13]

概算要求は、各省が財務省に求める金額です。年末の政府予算案や国会の審議で金額や中身が変わることがあります。

同法の認定は、農業者が新しい技術を取り入れる「生産方式革新実施計画」が232件(令和8年9月17日時点)、企業などが技術を開発・供給する「開発供給実施計画」が69件です。開発供給計画には、病害虫予測AIと農薬提案AIを組み合わせた防除アプリ、ぶどうの等級を判定するAI選果機、アスパラガスのAI自動収穫ロボットなど、AIを使ったものが含まれています。[9]

国は、スマート農業技術を活用した面積の割合を約20%(2024年)から2030年に50%へ引き上げることを目標にしています。[9]

未経験・小規模の農家はどう向き合うか

畑の農薬の倉庫の前で、スマホの画面を見せて質問するみのり

みのり:AIが「この農薬がいい」って言ったら、そのまま使っていいですか?

農薬のボトルのラベルを指さして説明するゲンさんと、真剣に聞くみのり

ゲンさん:AIの答えは判断の材料。農薬は必ずラベルと最新の登録内容を確かめよう

みのり(新規就農1年目)ゲンさん(地元の先輩農家)

  • 今すぐ試しやすいのは、スマホで使える病害虫予測・画像診断や、営農管理アプリに付いたAIチャットです(例:TENRYO、KSAS AIチャット)。
  • ハウスのトマトなら、生育・収量予測のアプリ(フルベジナビ)が提供されています。
  • 土壌診断AIやドローンによる収量予測は、まだ研究・試行の段階です。
  • 収穫ロボットはレンタルで試す形が出てきましたが、対象は施設のキュウリ・ピーマンなどに限られます。[1][3][4][5][6][10]

編集部より:AIの予測や回答は「判断の材料」です。特に農薬を使うときは、AIの提案をそのまま使わず、必ず製品ラベルと最新の農薬登録の内容(適用作物・使用回数など)を確かめてください。また、今回紹介したサービスの多くは料金が公開されていません。導入を考えるときは各社に問い合わせ、補助金の対象になるかもあわせて確認するのがおすすめです。

出典

  1. [1] 株式会社ミライ菜園(PR TIMES、マイナビ農業に転載)(2026年4月1日)「AI病害虫予測アプリ「TENRYO」の対応品目拡大とJA豊橋での活用」
  2. [2] 愛知県(2026年1月16日)「しその病害虫を画像とAI問診で診断する技術の開発」
  3. [3] 農研機構・持続未来株式会社・広島県(2026年8月4日)「NARO生育・収量予測ツールを組み込んだ営農支援アプリ「フルベジナビ」」
  4. [4] 農研機構(2026年3月18日)「水稲など13品目に対応した土壌診断AI」
  5. [5] 東京大学大学院農学生命科学研究科(2026年4月21日)「ドローンとAIでジャガイモの収量を収穫前に予測」
  6. [6] 株式会社クボタ(2025年7月3日)「KSASに生成AIチャット機能「KSAS AIチャット」を追加」
  7. [7] 農研機構(2024年10月18日)「農業特化型の生成AIの試験提供」
  8. [8] NTTアグリテクノロジー(2026年3月25日)「遠隔営農支援システムの受付・提供開始」
  9. [9] 農林水産省「スマート農業をめぐる情勢について(2026年10月版)」
  10. [10] AGRIST株式会社(2026年9月10日)「AI搭載の自動収穫ロボットを北海道の3拠点でレンタル」
  11. [11] inaho株式会社(2026年6月30日)「VLA(フィジカルAI)を活用したトマトの自動葉かき・芽かきロボットが認定を取得」
  12. [12] 農林水産省「令和9年度予算概算要求:スマート農業技術活用促進総合対策」
  13. [13] 農林水産省「令和9年度予算概算要求:スマート農業技術活用促進集中支援プログラム」

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