水稲高齢者中山間
中山間の集落営農で、自動操舵とドローンを導入
組合員73名・オペレーター2名の中山間の集落営農法人(水田4.2ha、小麦3.1ha、水稲基幹作業受託9.3ha)(令和元〜2年度)
小さな田んぼが多い中山間地で、高齢者やUターン就農者が中心の体制でも、自動操舵の農機やドローンで労働時間を約27%減らせました。一方で機械費が大きく増え、10a当たりの収支は赤字になりました。機械を全部そろえるより、借りる・委託する・必要な所に絞るといった工夫が大切だと報告されています。
導入した技術:自動操舵トラクタ、直進キープ田植機、防除用ドローン、食味・収量コンバイン、田植機・コンバインの隣接集落とのシェアリング
- 総労働時間(10a当たり)
- 24.8時間→18.2時間(約27%減)
- 単収(10a当たり、作況補正済み)
- 490kg→541kg(令和2年度)
- 機械・施設費(10a当たり)
- 11.7千円→56.8千円(令和元年度)→50.0千円(令和2年度、シェアリング後▲12%)
- 利益(10a当たり)
- 13.1千円→-18.7千円(令和元年度)→-13.2千円(令和2年度)
注意:労働時間は減ったが、機械費の増加で10a当たり利益は実証前の13.1千円から赤字(令和2年度-13.2千円)に。資料は、非使用時期に隣接経営体へ貸す簡易なシェアリングでは効果が限定的とし、ドローン等の利用時間の短い機器は賃借や受託サービスの利用、自動水管理システム等は遠隔圃場等に限定するなど、機器ごとの稼働面積や費用対効果を踏まえた絞り込みが重要としている。
出典:令和元年度スマート農業実証プロジェクトの成果について(水田作)(農林水産技術会議事務局・農研機構)(2022年8月)
水稲
家族経営の大規模稲作で、自動運転農機と収量データを活用
家族3名+常時雇用1名・臨時雇用2名の家族経営(経営面積65.2ha、うち主食用水稲38.6ha・新規需要米26.6ha)(令和元〜2年度)
家族中心の大きな稲作経営で、自動運転の農機を使い、忙しい春の代かき・田植を18%省力化しました。収量データをもとに肥料の配分を見直し、肥料を減らしながら収量も上がりました。ただし実証した面積が小さかったため機械代が重く、10a当たりの利益は大きく下がっており、元を取るには機械を広い面積で使い切ることが前提になります。
導入した技術:自動運転トラクタ、自動運転田植機、収量コンバイン、営農管理システム
- 代かき・田植作業の労働時間
- 18%省力化
- 総労働時間(10a当たり)
- 11.1時間→10.7時間(▲3.6%)
- 単収(10a当たり)
- 471kg→517kg(施肥量は5%低減、収入10%増大)
- 利益(10a当たり)
- 38.4千円→5.5千円(導入機械の稼働可能面積53haでの試算では48.0千円)
注意:実証時はスマート農機の導入面積が小さく、機械・施設費が10a当たり13.7千円→59.2千円と高額になり、利益は大きく減った。導入機器の能力を最大限使い切る規模(53ha)まで使う試算では機械費は慣行の2割増の水準に下がり、慣行より利益拡大が可能(+1万円/10a)とされる。ただし試算はコシヒカリでの収支で、実際には業務用品種や新規需要米も組み入れるため経営全体の収入・利益はこれより低位と注記されている。
出典:令和元年度スマート農業実証プロジェクトの成果について(水田作)(農林水産技術会議事務局・農研機構)(2022年8月)
水稲雇用者
従業員を雇う稲作法人で、営農管理アプリと収量データを活用
役員3名・従業員11名の雇用型法人(経営面積160ha、うち主食用米119ha・飼料用米等41ha)(令和元〜2年度)
従業員を雇う大規模な稲作法人が、収量を記録できるコンバインと営農管理システムを使い、田んぼごとの品種・作型の配置や人の割り振りを見直しました。高価な自動運転農機を入れずに、収量が増え労働時間も少し減り、10a当たりの利益が増えました。
導入した技術:収量コンバイン、営農管理システム(圃場別の収量・労働時間データの活用)
- 単収(10a当たり、作況補正済み)
- 422kg→467kg
- 総労働時間(10a当たり)
- 9.1時間→8.5時間(▲6.5%)
- 機械・施設費(10a当たり)
- 12.1千円→14.6千円
- 利益(10a当たり)
- 47.3千円→64.9千円
注意:慣行区は令和元年(41.2ha)、実証区は令和2年(45.6ha)の数値で、年をまたいだ比較。資料は、効率的な機械作業体制が確立している雇用型の大規模法人では、新たに自動運転系の農機を導入しなくとも、データ活用に必要な機器・システムに絞った導入も有効としている。
出典:令和元年度スマート農業実証プロジェクトの成果について(水田作)(農林水産技術会議事務局・農研機構)(2022年8月)
水稲
稲作から大豆・枝豆へ広げる経営で、ドローンや自動操舵を導入
家族5名・常時雇用8名の大規模水田作経営(水稲46.0ha、大豆50.6ha、大麦10.3ha、枝豆8.1haなど)(令和元〜2年度)
稲作中心の経営が、大豆や枝豆へ作付けを広げるために、ドローン防除や自動操舵、自動水管理などを組み合わせて導入しました。水稲・大豆の作業時間は2~3割減り、大豆の収量も上がりました。ただ、同じ期間に機械費などの経費が増え、表の上では経営全体の利益は下がっています。
導入した技術:自動運転トラクタ+自動操舵システム、防除用ドローン、自動水管理システム、自動運転コンバイン、車速連動の肥料散布機
- 水稲・大豆の労働時間
- それぞれ約2~3割削減(水稲6,500時間→3,600時間、大豆3,300時間→2,700時間)
- 大豆の単収(10a当たり)
- 173kg→195kg(13%向上、作付面積は22%拡大)
- 枝豆の労働時間(10a当たり)
- 55.3時間→37.7時間(32%削減)
- 経営体全体の利益
- 62,873千円→51,462千円
注意:収支表では、収入は139,963千円→163,910千円に増えたが、経費が77,090千円→112,448千円(うち機械・施設費8,112千円→19,562千円)に増え、経営体全体の利益は減少している。実証前(平成30年度)と令和2年度の比較で、この間に水稲・大豆・枝豆の作付面積も拡大している。
出典:令和元年度スマート農業実証プロジェクトの成果について(水田作)(農林水産技術会議事務局・農研機構)(2022年8月)
水稲京都府亀岡市中山間
中山間の稲作で、自動給水・ドローン等を一貫導入
中山間地域で水田を担う農事組合法人(実証場所:亀岡市保津町)(令和元〜2年度)
京都府の中山間地で、田んぼの準備から収穫まで一連の作業にスマート農業の機械を入れて試しました。特に田植え・水管理・防除の時間が減り、全体で約30%の作業時間短縮になりました。自動給水で見回りが減り水位も安定しましたが、狭く形の悪い田んぼや傾斜地では効果が小さくなる面もありました。
導入した技術:営農管理システム、自動運転トラクタ(有人機との協調耕耘)、直進キープ田植機・後付け自動操舵システム、自動給水システム・水田センサー、生育診断アプリ、防除用ドローン、収量コンバイン
- 稲作全体の作業時間(1ha当たり)
- 100.7時間→71.5時間(慣行体系比0.71、2020年)
- 水管理の作業時間(1ha当たり)
- 2.1時間→1.2時間(見回り・入水時間を1ha当たり約1時間削減、2020年)
- 自動給水による収量
- 約10%増加
- 本田防除の作業時間(1ha当たり)
- 2.1時間→0.9時間(ドローンの散布時間は10a当たり1分以内)
- 田植えの植付精度(ズレ幅)
- 7.6cm→2.9cm
注意:ドローン防除は傾斜地では準備時間が多くなった(それでも従来より短時間)。手持ちのトラクタと自動運転トラクタの2台作業による耕耘時間の短縮は、別々のほ場で45%減、1haの同じほ場で34%減、10a未満の狭小な別々のほ場では22%減にとどまった。資料には導入費用や収支の評価は載っていない。
出典:中山間地域水稲栽培におけるスマート農業技術・機械の一貫体系の導入による作業支援と省力・増収・高品質化の実証(京都府農林水産技術センター・京都亀岡中山間水稲生産支援スマート農業実証コンソーシアム)(2021年3月)